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【ヒロアカ】re:Hero

第13章 この手が届くうちに【R18】


「……想花」

もう一度、名前を呼ぶ。
この声が、今度こそ君を救い上げる糸になるように。

「お前は、なにも汚れてなんかいない」

ゆっくりと手を伸ばす。
怯えさせないように、何も壊さないように。

「笑われた? 壊されかけた? ぐちゃぐちゃにされそうになった?」

ひとつ、深く息を吸った。
言葉を絞り出すように、
自分の心に、嘘のないまま届けた。

「それでも――お前は、壊れてない」

壊されなかったんだ。
どんなに傷ついても、心を閉ざしかけても、
お前の中の光はまだ……ちゃんと、生きてる。

「お前は今、ここにいる。俺の前に――戻ってきた」

俺の目の前で、震えてる。
涙を流して、苦しくて、それでも踏みとどまって。

それがどれだけの奇跡か、俺は誰よりも分かってる。

「大丈夫。お前がどんなに“無くしちゃった”って思っても……」

そっと、その手を、優しく包み込む。

「……俺が、思い出させてやる」

震える手。
でも、掴み返してきた。
指先が、ほんの少しだけ、俺の指を求めてくれた。

その瞬間、胸の奥がほどけた気がした。

「全部、取り戻そう。お前が大事にしてきたもの――もう一度、俺と一緒に」

その言葉の先に、何があるかなんてまだ分からない。
でも、俺は――君の未来を、手放さない。

「なぁ、想花。信じてくれ」

俺が、何度でも、君を取り戻すってことを。

「お前が自分で見失っても、俺は絶対、見失わない」

だからどうか――もう、ひとりで泣かないで。
この腕の中で、もう一度、笑ってくれ。
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