第13章 この手が届くうちに【R18】
ホークスside
焼け爛れた皮膚、狂気を孕んだ光――
語られた“その男”の姿が、頭の奥にこびりついて離れなかった。
ホークスは目を伏せたまま、拳を握り込む。
“抱きしめられていた”
“俺のものだと、何度も”
言葉のひとつひとつが、胸の奥に錆びた杭みたいに刺さってくる。
(……そんな風に、触れられていたのか)
ただでさえ、あの子は傷だらけだった。
心に、身体に、どれほどのものを抱えていたか――それでも、強くあろうとしていた。
人の痛みに寄り添い、諦めず、戦ってきた。そんな子が。
(汚されたなんて、思わせたくなかった)
だけど、きっと――思ってる。
誰よりも、自分の手を“汚れたもの”だと思ってる。
怒りと、悔しさと、無力感が、喉奥でぐらぐらと煮えたぎる。
本当なら、プロとして冷静に対応するべきなのに。
今だけは、そう在れなかった。
「……俺が守るよ」
誰に言うでもなく、ぽつりと呟いた。
これ以上、彼女に“痛い想い”をさせたくなかった。
(――絶対に、誰にも触れさせない)
どんな手を使っても、どんな代償を払っても。
あの子の笑顔を、もう一度――守ってみせる。