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【ヒロアカ】re:Hero

第13章 この手が届くうちに【R18】


「お前って、ほんとに……わかりやすいよな」

荼毘の手が、私の顎を無理やり持ち上げた。
指先は荒れていて、熱を持っていて、
触れられるだけで、肌がじりじりと焼ける気がした。

『……っ、やだ……』

喉の奥から漏れた声は、かすかすで、弱々しくて、
それが余計に彼を煽ったのかもしれない。

「さっきのは、轟焦凍だろ?」

無理やり向けられた視線の先で、彼がにやりと嗤う。

「じゃあ、ここは?」

鎖骨。爆豪が、私を引き寄せて抱いた場所。

そこに――

「……っやめ、て……!」

ずるりと舌が這った瞬間、
私の中に残っていた“温度”が、一瞬で塗り替えられていく気がした。

『……っ、やだ、やだ……!!』

もがいても、力は入らない。
逃れようとした腕を、あっさりと背中で拘束される。

「暴れんなよ。せっかく大事にしてやってんのに」

『嘘……どこが、大事に……!』

「だってそうだろ。……俺、お前だけは、燃やしてねぇよ?」

その言葉に、背筋が凍る。

「お前が泣いた場所、笑った相手、全部、知りたいんだよ。壊して、焼き直してやるからさ」

こめかみに口づけを落とされ、
耳たぶを噛まれ、
声にならない悲鳴が喉の奥で弾けた。

(たすけて……誰か……!)

心が叫ぶ。
だけど、誰の声も届かない。

『……っあ……!』

熱を持った指が、胸元へと伸びてきたとき――

「──うぃーっす!だびお!いいとこだけどよぉ!」

軽い声が、唐突に割り込んだ。

トゥワイスだった。

「死柄木が呼んでるってさー。なんか話があるらしいぞ!あとでまた、な!?」

その声に、荼毘の体がわずかに止まる。

「ああ、チッ……タイミング悪ぃな」

舌打ちとともに、ようやく手が離れた。

でも、彼は私の髪をくしゃりと掴んで、顔を近づけて囁く。

「……後で続き、してやるからさ。逃げんなよ」

ぞわりと背中を撫でるその言葉が、
冷たい鎖のように心を縛りつけた。

そのまま、彼は部屋を出ていく。
残された私は、床に転がされたまま、
ただ震える指先を、後ろ手でぎゅっと握りしめることしかできなかった。

(……壊されない。壊されるもんか……)

涙が滲む瞳で見た天井は、どこまでも冷たく、見知らぬ世界の色をしていた。
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