• テキストサイズ

【ヒロアカ】re:Hero

第12章 あの日の夜に、心が還る


想花side

まぶたの奥に、やわらかい光が差し込んでくる。
……目を開けると、障子のすき間から朝の光がそっと部屋に入っていて、布団の中がふわっとあたたかかった。

『……ん、朝……か』

横を見ると、お茶子ちゃんが小さく寝息を立てていて、
三奈ちゃんが寝返りを打ちながら、布団をぎゅっと抱きしめていた。

静かな朝。けれど、空気はどこかぴんと張っていて。
それが今日から本格的に始まる“個性訓練”を、自然と意識させてくる。

私はそっと起き上がって、身支度を始めた。

少しして女子たちが順々に目を覚まし、わちゃわちゃと笑い声が広がっていく。
鏡の前で寝癖を直す子、スキンケアをしてる子、お腹空いた〜って叫ぶ声。

なんてことない朝なのに、
『……なんか、こういうの、すきだな』
そんな風に思えてしまうのは──きっと、みんなで過ごす時間がすごく大事に思えるから。

外に出ると、すでにB組の子たちが何人か体操していて、
元気よく手を振ってきたのは、物間くん。

「おやおやおや、A組のお姫様もようやくお目覚めですか〜?」

『お姫様じゃないし……おはよう、物間くん』

「へいへい、今日もよろしくね~!って言っても、こっちは全力でいくから〜!」

口では煽ってくるけど、なんだかんだ楽しそうに笑う彼を見て、思わず私もふふっと笑ってしまう。

すると、その向こうからマンダレイさんの声が響いた。

「みんなー!朝ごはんの後は、いよいよ本格的な“個性強化訓練”に入るよー!」

『……いよいよか』

ちょっとだけ、背筋が伸びる。
そばにいたお茶子ちゃんが「頑張ろうね!」と笑いかけてくれて、
三奈ちゃんも「今日は動くから、メシが大事やで〜」って肩をポンと叩いてくれた。

今日、どれだけ自分の限界に近づけるんだろう。
どれだけ、“強くなれる”んだろう。

みんなの顔も、少しだけ引き締まって見えた。

『……よし。がんばろ』

空は、今日も晴れている。
きっと、なにかが変われる気がしていた。
/ 664ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp