第11章 ドキドキ期末
実技試験本番。
校舎裏の試験フィールドには、先生たちと1-Aの生徒たちが、続々と配置されていく。
私はまだ出番を待つ立場で、仮設の観覧モニターの前に立っていた。
画面の中では、焦凍と八百万さんが相澤先生を相手に全力でぶつかっていた。
空気を切り裂く氷の轟音と、的確に繰り出されるサポートアイテムの閃き。
互いの力を補い合って、的確に、迷いなく動いている二人の姿が眩しかった。
『……すごいな、あのふたり』
まるで、長い間一緒に訓練してきたパートナーみたいに、呼吸がぴったりだった。
氷が展開されるたびに画面が白く染まり、八百万さんのアイテムが道を切り開く。
相澤先生は冷静にその全てを見極めながら、機をうかがっている──その駆け引きの熱に、思わず息をのんだ。
彼らの戦いが終われば、次はいよいよ私の番。
この場には、私のペアはいない。
先生と──正面から一対一で対峙する、ただ一人の試験者。
それが、わかっていたはずなのに。
胸の奥がきゅうっと締めつけられるのを、私はごまかせなかった。
『……ちゃんと、やらなきゃ』
私だけの、戦い。
誰かと並んで立つわけじゃないけど、それでも……誰かのために戦えるって信じたい。
焦凍と八百万さんの背中を、今はただまっすぐに見つめていた。
──もうすぐ、私の名前が呼ばれる。
胸の奥に、静かに火が灯る。