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【ヒロアカ】re:Hero

第11章 ドキドキ期末


ほんのり冷たい床の感触と、カーテン越しの光。
目を覚ました瞬間、私はまだ静かな部屋の中で深く息を吐いた。

金曜の夜。みんなで食べて、笑って、語り合って。
あんなににぎやかだった部屋が、今はまだ寝息に包まれている。

『……よし』

そっと布団から抜け出して、気配を殺すように立ち上がる。
まずはキッチンの窓を開けて、やわらかな朝の空気を入れる。
冷たいけど、どこかやさしい風。まだ少し夢の余韻が残るような空気だった。

私は冷蔵庫を開けて、昨夜の残りものを確認する。
ちょっとだけ余ったハンバーグと野菜、卵にパン。
『……うん、これなら朝ごはん、ちゃんと作れそう』

目玉焼きを焼く音、トーストが焼ける香ばしい匂い。
ウインナーがぷちぷちと跳ねる音に、自分でも思わずお腹が鳴ってしまった。

「……う、ん…なんか……いい匂い……」

最初に起きてきたのは、たぶん切島くん。髪がひときわ爆発してる。

「はぁ〜〜……マジか……朝から幸せなやつ……」

次は瀬呂くん。寝癖を押さえながら、キッチンをのぞき込んできた。

『おはよう、ふたりとも。ちょっと待っててね』

「なにこれ最高〜〜!」
「すげぇ、ほんとに作ってくれたんだ……!」

焼き立てのトーストを並べていると、背後からまた一つ、重たい足音。

「……ったく、朝から騒がしいんだよ」

『あ、勝己……おはよう』

「……ああ」
ぶっきらぼうだけど、どこか声が低くて、まだ寝ぼけてるのが分かる。

「……うわ、マジで全部想花ちゃんが作ったの!?やば、尊……っ!」

最後に現れたのは上鳴くん。
布団ぐしゃぐしゃの髪に、感動した顔をしてるのがちょっとおもしろい。

『みんな、ちゃんと起きてきた……すごいなぁ』

全員そろって、ぐしゃぐしゃの寝癖と、少し眠たげな目で、でもちゃんと笑ってて。

朝の光に包まれながら、一枚ずつ皿が並んでいく。
何気ない朝が、なんだかあたたかくて、心がふわっと軽くなる。

『……はい、朝ごはんできたよ』

「いただきまーす!!」
「想花ちゃん神!!」
「お前ほんと最強すぎる……」
「うまそ……」

その声たちを聞きながら、私は席について、トーストを一口。

──こんな朝があるから、頑張れるんだろうな。

そう、自然と思えた。
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