• テキストサイズ

【ヒロアカ】re:Hero

第11章 ドキドキ期末


放課後、上鳴くんとふたり、校門を出て並んで歩き出す。
週末前の、ほんのり涼しい風。
金曜日の夕方って、なんだか特別な空気をまとってる気がする。

『スーパー寄って、それからうちで勉強ね』

「へいへい、よろしくお願いしまーす。俺、今日こそ真面目だから」

そう言ってニッと笑う上鳴くんの横顔に、ふっと肩の力が抜けた。
……ま、今日もなんだかんだ楽しくなりそう。

そんなことを思っていた時だった。

後ろから、足音が――複数、しかも、ちょっとだけ騒がしい気配。

『……え?』

振り返ると、そこには切島くんと瀬呂くんが、なんだか妙に必死な顔で走ってくるのが見えた。

「頼むぅぅぅっ!!俺たちも混ぜてくれえええ!!!」

「真面目に勉強したいだけなんだ、ほんとに……!」

……あまりの勢いに、ついぽかんとしてしまう。

『え、ちょ、ちょっと待って?なんでふたりがここに……』

「いや、聞いたんだよ。上鳴と星野がふたりで勉強会って!」

瀬呂くんの言葉に、上鳴くんが「えぇぇ〜!誰からだよ〜〜!」と叫んでたけど、
その横からさらにもうひとつの足音が近づいてきた。

「……アホ面とお前がふたりとか、やべぇだろ」

低くてぶっきらぼうな声。
振り返れば、しかめっ面の勝己が腕を組んで立っていた。

『……勝己まで!?』

「ったく、油断も隙もねぇ……」

上鳴くんは少し悔しそうに、「…せっかくの想花ちゃんとのふたりきりが……」と、こぼすように呟いていて。
それにまた突っ込もうとしたら、私の方が先に笑ってしまった。

『ふふっ……じゃあ、みんなで勉強会、だね』

人数は予定よりだいぶ増えたけど。
その分、きっと賑やかで、楽しくなる。

「よっしゃあああっ!じゃあまずはスーパーだな!夜は長ぇぞ〜!!」

切島くんが拳を握ってはしゃいで、瀬呂くんは「夕飯の買い出し、何が足りない?」と私にメモを出してくれる。
勝己は「オレ、飯作んねぇからな」と言いながら、なんだかんだ歩幅を合わせてくれるし。
上鳴くんは、ちょっと照れたまま、でも楽しそうに笑っていた。

こんな金曜日の放課後も、悪くない。

私はそっと、小さく息を吸い込んで──
賑やかな足音と笑い声に包まれながら、
いつもの商店街へ、みんなと歩き出した。
/ 664ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp