第11章 ドキドキ期末
金曜日の朝。
1週間の疲れがそろそろ見え始める頃――なはずなのに、うちのクラスはむしろ逆。
『……うるさっ』
思わず苦笑しながら教室のドアを開けると、いつも通りの、いやいつも以上の騒がしさが広がってた。
「うおおお!!プリントがねぇえええ!!」
「提出今日までだぞ、上鳴!!昨日言ったじゃねーか!!」
「おれのも……どこいったっけ……瀬呂〜〜〜!!」
「知らん知らん!!俺の机に勝手に置いたのお前だろ!?」
ドタバタ走り回る男子勢と、それを横目にさっさと席に着いてる焦凍と飯田くん。
そして朝からテンション高い三奈ちゃんが、窓際で耳にイヤホン差して踊ってる。
『……ここ、教室だよね?』
「想花ちゃ〜ん♡」
後ろからお茶子ちゃんが飛びついてきて、そのまま私の腕に抱きつく。
「プリント出すの今日までやんな!?見せて〜〜♡お願い♡♡」
『もう、しょーがないなぁ……ほら、これ』
プリントを渡すと、すぐさまその横に三奈ちゃんまで来てた。
「やば、さすが〜〜!想花ってさ、やっぱインターンで活躍してたから頭も良いんだよね〜?」
『な、なにそれ!?関係ないし〜!』
でも、そう言いつつも。
ちょっとだけ背筋がしゃんと伸びる。
誰かに頼られるの、嫌いじゃない。
「お〜い星野、あとで理科のとこ聞かせてくれ〜〜!!」
切島くんがプリント片手に走ってくるし、
「おれも!!てかもう今ちょっと教えて!!」
上鳴くんが強引に隣の席に座ってくるし。
……うん。
静かに過ごす気なんて、最初からなかったんだなって悟った、金曜の朝だった。
だけど、
この賑やかさが、
“日常”ってやつなんだなって、ふと胸があたたかくなった。