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【ヒロアカ】re:Hero

第8章 優しい休日


体育祭の翌日。
張り詰めていた気持ちがようやくほどけて、私はゆったりと午前中を過ごしていた。

そんなとき、スマホが小さく震える。
画面をのぞくと、女子だけのグループLINEがわいわい盛り上がっていた。

『今日のお昼、女子だけで打ち上げしない?✨』
『お疲れ様会ってことで〜!』
『恋バナもしよ♡♡』

軽いテンションが心地よくて、私は思わず吹き出してしまう。
『行く!』とスタンプをぽん、と送った。

慌てて身支度を整えて、待ち合わせのカフェへ向かうと──
すでにみんな揃っていて、笑顔で出迎えてくれた。

「主役来た〜〜!想花ちゃん遅い〜!」
「ヒーロー候補生なんだから、時間は守らなきゃ〜っ♡」

いつもの調子に背中を押されながら、私たちは近くのカラオケ店へ移動した。
ドリンクとお菓子、音楽と笑い声。気づけば、時間があっという間に流れていた。

そんな中、ふと誰かがぽつりと口にした。

「そういえばさ……想花ちゃん、爆豪くんと付き合うの?」

空気が、ほんの少し止まる。

『……え? な、なんでっ!?』

間の抜けた声が、反射のように口からこぼれた。
「だってさ〜、開会式で言ってたじゃん!“1位になったら付き合ってくれ”って!」
「そうそう!体育祭、爆豪くんほんとに優勝してたし?」

頭の中で、何かがごちゃごちゃと音を立てる。
……言ってた。うん、確かに、言ってた。
でも、それって、冗談じゃ……いや、でも──

「で?ほんとのとこ、どうなの?♡」
「えっ、まさか……ガチなの!?」
「爆豪くんって本気だったの!?ねえってば!」

一斉に向けられる視線に、呼吸すらうまくできない。

『ち、ちが……っ、いや、それは……っ!』

うまく言葉にならない私を囲むように、好奇心の渦が巻き起こる。
照準を定めたように、場の空気は私ひとりに集まって──
気づけば、恋の話の主役に据えられていた。
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