• テキストサイズ

【ヒロアカ】re:Hero

第7章 君に負けたくない


「さあ続いては、第2試合〜〜ッ! A組の謎多き実力者、星野想花ぁぁ! 対するはB組、神の導きし乙女、塩崎茨だァァッ!」

プレゼントマイクの声が場内を震わせた瞬間、私の呼吸はすでに戦いのリズムに切り替わっていた。

塩崎さんのツルが、風にたゆたうように動いている。
その静けさの裏にある緊張感が、肌にじわじわと伝わってくる。
決して油断できない相手。私は、それをよく知っている。

──ホイッスルが鳴る。

次の瞬間、床を這うようにツルが走り、上空からも刺すような動きで襲いかかる。

『……こっちから行くよ』

迷いはなかった。
指先に集めた熱を、瞬時に炎へと変換し、正確に放つ。

轟音とともに、ツルが焼け落ちていく。
焼けた茎の香りが、かすかに鼻をつくけど、私の視線はその奥の本体だけを捉えていた。

「なんとォォ!!茨の結界が、まさかの瞬殺ぅぅ!?」

会場がどよめいたのが聞こえた。けれど私は──

静かだった。
このくらいは、まだ“当然”だと思っていた。

……でも、やっぱり。

『……重いな』

治癒の反動が、膝にきている。
深く息を吸っても、胸の奥が少しだけ軋む。

それでも私は止まらない。
止まらないって、決めたから。

塩崎さんの手がまた動く。ツルが迷いながら伸びてくる。

──けれど、もう遅い。

私はただ静かに、間合いを詰める。
迷いを穿つように、一撃を打ち込む。

「試合終了ーッ!! 勝者、A組・星野想花ーッ!!」

どっと湧き上がる歓声の中で、私は肩で息をつきながら静かに目を閉じた。

誰も知らないところで、私は毎回限界の一歩手前に立ってる。
でもそれでも、やっぱり私は立つ。立ち続ける。

『……ちゃんと、最後まで立っていられるように』

祈るように。決意するように。
誰にも聞かれない声で、私は胸の奥でそっと呟いた。
/ 664ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp