第7章 君に負けたくない
爆豪side
保健室へ走っていく星野の背中を見て、胸の奥が焼けるように痛んだ。
なんで……なんでいつも、あいつは自分を犠牲にしてまで……。
激しい怒りが込み上げる。
でもそれは、ただの苛立ちじゃない。あいつを守りたい、絶対に守りたいっていう熱い想いが暴れてるんだ。
あいつは強い。
誰よりも強い。でも……その強さの裏に隠れた弱さを、俺はずっと見てきた。
怪我を隠そうともせず、無理して笑って、みんなのために自分を後回しにするあいつを……。
「俺の手じゃ、あいつを守れねぇのかよ……」
そんな悔しさに、心が締め付けられて叫びたくなるのに、声が出ない。
俺はただ、無力なまま。
なのにあいつは、それを隠して笑うんだ。
その笑顔に、俺は胸が張り裂けそうになる。
もっと……もっと自分を大事にしてほしい。
だけど、あいつはそんな俺の願いさえも聞かない。
「クソが……せめて、俺を頼れよ……」
叫んでも、叫んでも、届かない。
だからこそ、俺の拳はギリギリと震える。
俺はあいつのために強くなりたい。
絶対に守りたい。
でも今はまだ、何もできていない。
「星野……お前のこと、誰よりも大事なんだ」
誰にも言えない、この想いだけが、俺の胸に重く、静かにのしかかっていた。
そして、ただ一人。廊下で立ち尽くし、あいつの背中を見送ることしかできなかった。