第7章 君に負けたくない
爆豪side
……スタジアムに戻って最初に目に入ったのは、
赤と白の衣装。ポンポン振って笑う、アイツの姿だった。
一瞬、何が起きたのか分かんなくて、思考が止まった。
「……はァ!?おまっ……なにして……」
言葉にならねぇ。
頭の中、グチャグチャ。
いや、違う、なんだよそのスカート、なんだよその動き――
バッカじゃねぇの!?似合いすぎだろクソがよ!!
(やべぇ、目、逸らせねぇ)
気づけば、無意識に目を逸らしてた。
なんか……見てると、心臓がうるせぇ。
でもそのとき。
舞台裏から、あの声が聞こえた。
「……言ってない」
相澤先生の声。
――一瞬で理解した。
あの衣装、峰田の仕業だって。
次の瞬間、怒号と共に女子たちが駆け出していって――
「……チッ」
言葉にならねぇ。
笑って振ってたあのポンポン。照れた顔。
あれ、全部……ウソだったのかよ。
(……いや、違ぇ。ウソでも本気でも関係ねぇ)
……あんな姿、見せられたら、
気にしねぇほうが無理だろ。バカがよ。