第3章 ヒーローの初試練
教室に足を踏み入れた私は、にこやかに周りを見渡した。
(…みんな、楽しそう)
心の中でそう思いながら、自然と笑顔がこぼれる。
すると、すぐにふたりの女の子がこちらに気づいて、ぱっと笑顔を向けて近づいてきた。
「こんにちは!よろしくね!」
ひとりは明るくて元気いっぱい。ぽんぽんと話しかけてくるその子の笑顔は、まるで太陽みたいにあたたかい。
「私も〜!可愛いね〜!」
もうひとりはクールだけど、声をかけるとにこっと照れたように微笑んでくれた。
私は少し照れながらも明るく返した。
『ありがとう!私は想花。まだ知り合いはあんまりいないから、仲良くしてね♪』
ふんわり柔らかな笑顔を向けたその瞬間——
「お〜〜〜〜いっ!今かわいい子って言ったな!?見逃さなかったぞぉぉぉぉ!」
突然、元気すぎる男子の声が割り込んできた。
教室の隅から満面の笑みで駆け寄ってきたのは、明るくてパワフルな男子。
その後ろには、金髪のクールそうな男の子が少し呆れた表情でついてきている。
「マジで可愛いじゃん!黒髪ロングにその笑顔、最高だよな!」
「ねぇねぇ、彼氏いるの?名前なんていうの?俺、ヒーロー科の伸びしろある男だぜ?」
私は一瞬ぽかんとしたけど、すぐにクスッと笑った。
『ふふ、にぎやかだね。私は想花。彼氏は……まだいないかな?』
「よっしゃああああああ!!」
元気男子がガッツポーズを決めるのを、金髪男子が苦笑しながら制止した。
「落ち着けよ、ここからが大事だ。第一印象で引かれないようにな?」
「誰が引かれるような真似するかよ!これが俺のナチュラルな魅力だろ!」
そんなふたりのやりとりを見て、私は目を細めて笑った。
こうして、私の雄英でのはじまりの一日は、早くも賑やかさを増していった。