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キバナさん 男娼を買う

第8章 褒美







「ハンバーグだけじゃなくて、卵食っとけよ。
 成長期なんだから。」

 キバナさまがハンバーグを食べながら
 こちらを見下ろした。

「は、はい。食べます。」

 血がついたまま、卵を口に含んだ。
 鉄の味がするが、我慢して飲み込む。
 
 今晩も口淫しなければいけない。
 こんな傷をつけて、
 キバナさまの気を損ねたらどうしよう……。

 もぐもぐと咀嚼していると、
 キバナさまが鎖を引っ張った。

「おい。」

「……は、はい。」

「何か隠してるな?」

「……え、あ……。」

 なんて答えればいいか分からず、
 咄嗟に手を後ろに隠した。
 キバナさまがぎろりとそれを睨む。

「……チッ…。」

 鎖を思い切り上に引っ張られて、
 体が横に倒れ込んだ。

「ぐっ…うぅ……。」

 がん、とテーブルの角に頭が当たり、
 脳がぐらぐらと揺れた。
 キバナさまを怒らせてしまった。
 今度こそ捨てられてしまう。
 どうしよう。どうしよう…っ。

「あ?なんだよ。何隠してんだ。言え。」

「い、いえ、なんでも、
 なんでもない、です。」

「嘘つきやがって。
 それが主人への態度か?」

「ち、ちがいます。キバナさま……っ」

「言っても分かんねえなら、
 体に聞いてもいいんだぜ?」

 キバナさまの足がこちらを向く。
 ――蹴られる。
 びく、と体が震えて、
 咄嗟に手でテーブルの柱を掴む。

「ご、ごめんなさ、ごめんなさい……ごめんなさいっ」

 目を瞑って、必死に言葉を紡ぐ。
 罰は嫌だ、いやだ、痛い、いやだ……。


「……ごめんなさ、い……。」

 しかし、待っても拳も蹴りも飛んでこない。
 びくびく震えながらその場で硬直していると、
 キバナさまに腕を掴まれた。

「血?」

「う、うう……。」

 そのままキバナさまに引っ張られる。
 反対の手の骨を折られたらどうしよう。
 痛みを覚悟してキバナさまの足元で座り込んだ。



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