第8章 褒美
レイからバスタオルとガウンを奪って
シャワー室に入る。
レイには女を抱く部屋の
シャワールームしか使わせていない。
失礼します、とお辞儀をして
レイが扉を閉めた。
「はあ…。」
バンダナを取れば、
ジムリーダーのキバナ、から解放される。
ダンテも同じ気持ちだろうか。
黒い帽子を取って、
チャンピオンタイムイズオーバー、と
会場に向かって言うダンテが、頭によぎった。
重荷になっていたチャンピオンの肩書きが
なくなって、オレさまと同じように
ベッドに沈んでいるだろうか。
「結局勝てないまま引退しちまったし…」
ダンテに勝てばチャンピオンになれたのに、
また遠のいたな。
紙吹雪が舞う中で、新しいチャンピオンが
純粋な笑顔で手を振っていた。
「…強いな。アイツ。」
アイツとはまた戦いたい。けど。
「……けど………。」
当分はいい。
頭から足まで全身に重りがついている。
体力を消耗したのはポケモンだけじゃない。
トレーナーだって同じだ。