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キバナさん 男娼を買う

第8章 褒美




(レイ視点)



 『鈴口を舐めて、
  喉奥まで一気に咥えて吸う。
  これだけで彼氏はイっちゃうかも!』

「…………。」

 キバナさまに言われた映像を見返す。
 部屋の壁にぺたりと棒を貼り付けた。

「……。はむ、むぅ、む、うぅ……。」

 タブレットを見ながら、愛撫の練習を続けていく。
 ぴちゃぴちゃと唾液を絡ませて、
 棒を口の中に含んだ。
 まずは、先を舌を回すように舐めて…

「んぐぐ……ッ、げほ、げほっ」

 喉奥に一気に突き立てたところで、
 思わず嗚咽して口から外した。
 動画の女性は棒を思い切り吸っているのに、
 僕は…そもそも、喉奥まで咥えられない。
 

「う゛……。」

 玩具はキバナさまのモノより短い方なのだ。
 奥まで咥えるのもやっとなのに、
 思い切り吸うなんて……。

「……んん、やらなきゃ。できるようにならなきゃ。」

 諦めずにもう一度喉奥に突き立てる。
 シリコンが擦れて喉が痛いが、
 それよりも、上手くなりたい。

「キバナさま、キバナさま……。」


 上手くなって、
 キバナさまにもっと使ってもらいたい。
 もっとキバナさまと一緒にいたい。
 ずっとここに住んでいたい。
 
 『下手』『役立たず』
 『お前、もういらねえよ。出てけ。』

 頭の中で、
 冷たく見放したキバナさまの姿が浮かんだ。
 
 いやだ、捨てないで、キバナさま、
 
 僕、もっと上手くなります。
 キバナさまの性欲処理として。奴隷として。
 ちゃんと役目を果たします。
 だから、ここにいさせてください。


「……ぐ、ううっ、ぅ゛。」

 一気に奥まで咥えて、
 ずぼぼ、と吸う。
 冷たいシリコンがびくんと動いた。

「――ッ、げほっ……。」

 咥えたまま、むせてしまった。
 ……ダメだ。やり直し。

 一旦口から離して、
 もう一度最初からやり直していく。
 
 「キバナさま…。」

 首を傾けて横から咥えると、
 じゃら、と鎖が鳴った。

 首輪も鎖も、来た時は好きじゃなかった。
 でも今は違う。
 首輪は、僕がここにいる証であり、
 鎖は、必要とされている証なのだ。




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