第7章 溺れる
「オレさまのモノいっぱい咥えて、
ごくごく飲んで。毎日楽しいだろ。」
「はい。」
「飲むの好きだもんな?」
「はい。」
ん、と唾液を飲み込んで胃に流し込んだ。
白い液体が、口を、内臓を通って、
キバナさまに染まっていく。
「もっと飲みたいです。
僕を、キバナさまでいっぱいにしてください。」
「へえ。だいぶ分かってきたじゃねえか。
ここのルール。」
はやく腕を治して抱かれたい。
もっと僕を使って欲しい。
もっとキバナさまに身体を捧げたい。
身体中、全部、ぜんぶキバナさまに…。
「お前は、誰のモノだ?」
「僕は…、キバナさまのモノです。」
「……ふん。」
その冷たくて、突き放す声が脳内を包む。
キバナさまが僕の鎖を引っ張った。
思考が全部キバナさまで埋まっていく。
僕の体も心も、キバナさまが操っている。
「オレさまが誰だか言ってみろ。」
「キバナさま…です。」
「オレさまの言うことは、なんだ?」
「キバナさまの言うことは……、……。」
「まだ覚えられねえか。」
「…申し訳、ございません。」
キバナさまの言うことは…えっと……。
僕が答えられないでいると、
キバナさまが僕の顎を掴んで、目を合わせた。
「……もう1回、ここのルールを教えてやる。」
「はい……キバナ、さま。」
「オレさまの言うことを繰り返し言え。」
「は、い。」
キバナさまの顔で視界がいっぱいになり、
水色の瞳が、僕を突き刺す。