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キバナさん 男娼を買う

第7章 溺れる






 「お前もご無沙汰だろ?」

 「はい。」

 「日中抜けば?」

 「前より後ろが欲しいです。」

 「だから駄目だ。
 身体に負担かかる。」

 そんなこと、気にしなくていいのに。
 キバナさまが僕に背を向ける。

 「電気消せ。」

 「はい。」

 キバナさまの言う通り、電気を消した。
 寝るのだろうか。
 自分のマットレスに戻ろうとすると、
 名前を呼ばれた。
 

 「レイ。」

 真っ暗な部屋の中、
 キバナさまの声が聞こえる。
 毛布から抜け出すと、
 鎖ががちゃがちゃと鳴った。

 「来い。」

 「……。はい。」

 キバナさまがぐっと鎖を引っ張った。

 確認の時間だ。
 僕がキバナさまの足元に座ると、
 キバナさまがわざと鎖をじゃらりと鳴らした。

「……ふん。」

 かちゃ、かちゃ、とキバナさまが
 鎖を持って歩いていくのが分かる。
 僕も後を追った。

 「ここだ。」

 ばさ、と寝室のカーテンが開けられ、
 窓から月の光が寝室に入ってきた。

 「はい。」

 キバナさまの足元に座ると、
 ぎろ、とキバナさまがこちらを見ていた。

 「立てよ。」

 キバナさまが僕の首輪を持って、強引に立たせた。
 ぐら、と体が浮いて、窓に押し付けられる。
 月の光が…眩しい。

「う、ぐ、ぅ……。」

 本革の固い首輪が食いこんで痛い。
 ぎちぎちと鳴る中で、
 光に照らされたキバナさまが
 僕を鋭く睨みつけていた。

 「お前さ、」


「オレさまに飼われて、嬉しいか?」

 「はい。」

 「はは、忠誠心あるじゃねえか。」


 僕が迷わずそう言うと、
 キバナさまがけらけら笑った。
 口の中は、まだキバナさまの味がする。




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