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キバナさん 男娼を買う

第7章 溺れる







 「…げほ…。」

 喉奥を突かれたせいで、咳が出る。
 手で押さえてけほけほと咳をしていると、
 キバナさまの手が頬に触れる。

 「口の周り、真っ白だぞ。」

 そう言われて、口の周りについた精液を指で拭って
 自分の指を口に含む。
 じゅ、じゅ、と指を吸って残りを舐めると、
 キバナさまが目を細めている。

 「見せろ。」

 顎を支えられて、キバナさまと目が合った。
 口を開けて、ぺろ、と舌を出してみせる。
 まだ液体でいっぱいだ。
 唾液と混ざったものが口の中に残っている。

 「どうだ?美味いだろ?」

 「ん…キバナさまの…美味しいです。」

 その言葉に満足したのか、
 キバナさまがにやりと笑って、八重歯が見える。
 口を閉じて、残りの液体もごくり、と飲んだ。

 キバナさまの手が離れていく。
 口淫は終わりだ。
 キバナさまの目線が、僕の口からギプスに移る。

 「…チッ、いつまで待たせんだよ。」

 「腕治ってなくても、行為できます。」

 「バカ。骨がズレたらどうするんだ。
 病院で怒られるぞ。」

 「もうくっつきました。」

 「だとしてもだ。
 怪我人を抱く気にはなれない。」

 キバナさまが欲望を吐き出した雄をしまって、
 ベッドに横になる。
 
 キバナさまが僕の腕をじっと見て、
 眉をひそめた。

 「次いつだっけ。」

 「来週の木曜日、10時から診察です。」

 「……はぁ。」

 キバナさまはちゃんと僕を病院に連れてってくれる。
 1回行ったら放置かと思ったら、
 そうでもない。
 通院日にタクシーで行って、
 一緒に診察を受けて、帰ってくる。
 ご主人様というより、保護者だ。



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