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キバナさん 男娼を買う

第6章 首輪








 「や、でも、借金、」

 「親名義だってのは調べてある。
  そもそもガキのおまえが身体売って
  払うのはおかしいだろ。
  親が生きてるうちは背負わせときゃいい。」

 「仕事…。」

 「携帯はオレさまが預かっとく。」

 「ふ、副業、店が…。」

 「そっちも辞めろ。
  携帯預かってる以上、お前に権限はない。」

 「……………。」

 「それに、ここにいるのは誰も知らない。
  客や親は絶対に来ねえよ。」

 言い返す言葉がなくなっていき、
 もごもごと口を開いては閉じるを
 繰り返していく。
 かちゃかちゃと鎖が鳴る音が響くのみだ。

 「ぼ、僕を飼って…
 なんのメリットがあるんですか。」

 「そうだな…メリットねぇ…。」

 家主が顎に手を当てて考えている。
 僕には金もないし、
 飼われるほどの美貌も、身体もない。
 そもそもこの人は女性が好きなはずだ。
 傷だらけの僕を飼って、
 どうしようと言うのだろうか。

 「性欲処理だな。」

「……せいよく、しょり?」

「お前の身体、嫌いじゃねえから
 オレさまの性欲処理にする。
 そのかわり、ここで生活はさせてやるよ。」

 目を丸くすると、
 家主が笑って、八重歯が見えた。
 僕の気持ちを他所に、楽しそうだ。

「あと…日中は家事やってもらう。」

 「……家事?」

 「家政婦って金かかんだよ。
 料理はともかく、掃除と洗濯だけでも
 やってもらえれば、経費が減る。」

 「でも………。」

 「口答えすんな。」

 ぐっ、と鎖が引かれて、
 家主に引き寄せられる。
 家主は僕より身長が高い。
 上から見下ろされると…逆らえ、ない。



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