第6章 首輪
「ほら、ここ座れ。」
家主の足がとんとんと鳴って、
床に座り込む。
少し距離を開けて座ると、
家主に首輪を引っ張られた。
「お前な。足元に座れって意味だ。」
「う…申し訳、ございません。」
家主に首輪を引かれて座る位置を変える。
家主の足元に膝立ちさせられ、
みちみちと首輪が鳴った。
「……じゃ、これ。取るから。」
家主が指をひっかけていた、古い首輪を取る。
これもどのくらい使っていたか分からない。
つけていると、いろんなお客様が引っ張るから
すぐ壊れてしまうのだ。
「新しいやつな。」
家主が黒い革の首輪を見せる。
シンプルで、何も装飾品がない。
前のやつは赤色だったから、
少しは目立たなくなるだろうか。
「前のはボロボロで気に食わなかったんだよ。」
家主が僕の首に新しい首輪を巻いていく。
本革だ。僕にはサイズが少し大きい。
「似合うな。肌白いから、黒がよく映える。」
首輪を嵌めて、僕の顎をぐい、と上に引き上げる。
家主が首輪を見てにやにやと笑う。
「あとは…これも。」
さらにかちゃかちゃと音がする。
金属が擦れる音がした。
ああ、そういう趣味か。
「首輪に鎖とか。動物っぽくていいだろ。」
かちゃかちゃと鎖が鳴り、
その先は家主に持たれている。
試しに、と鎖を引っ張られて、
ぐ、と家主の方に体が持っていかれる。
強度を確かめるように何度か引っ張ってから、
へらへらと満足そうに笑った。
「これで、お前はオレさまのもんだ。」
「……………。」
やっぱり、SM好きなんだ。
昔ここに飼われていた奴隷のことを
考えたら、当然のことだ。
彼女は首輪をつけて、物置に押し込まれていた。