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キバナさん 男娼を買う

第6章 首輪







 「食えよ。腹減ってるだろ。」
 
 そう言って、家主は食事を始めた。
 もぐもぐと肉を頬張っている。
 …。これ、あれだ。チキンのトマト煮込みだ。

 「…いただきます…。」

 家主にぺこり、と頭を下げてから、
 料理を口に含む。………。美味しい。

 「この家政婦、悪くねえんだよ。」

 へへ、と家主が笑って
 チキンをむしゃむしゃ食べている。
 本当にすごく美味しい。
 鶏肉なんて
 最後に食べたの…いつだったかな……。

 「んぐ、んぐ…。」

 チキンを咀嚼して飲み込む。
 片手だから、時間がかかる。
 床に置いた食器に顔を近づけて、
 ギプスを汚さないように食べる。

 「あの家の食事よりはだいぶマシだろ?」

 家主は味わって食べているのだろうか。
 とりあえず噛んで胃に流し込んでいるだけのように
 見える。
 もっと大切に食べた方がいいとは思うが、
 そんなことを言える立場ではない。

「は、い。おいひいです。とっても。」

「もっと食っとけ。
 怪我治すには体力つけねえと。」
 
 床にぺたりと這いつくばった。
 こうすれば、もっと速く食べられる。
 家主が食べるスピードに合わせて、
 僕も慌ててチキンを口に頬張った。




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