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キバナさん 男娼を買う

第5章 救う








 「ミイラみたいだな。」

 ナックルシティに戻って手当させると、
 外の傷は思ったより多かった。
 殴られ蹴られ、散々だ。
 昔見た赤い線は、靴べらで。
 丸い火傷はタバコだった。
 
 穴も血と精液に塗れていて…
 前戯無しで挿入されて好き勝手されたんだろう。
 

 「誰だよ、やったのは。」

 「…………。」

 「おい。」

 「……………。」

 少年はずっと黙ったままだ。
 目が泳いでは、黙っている。

 「助けてやったのに言わないつもりか?」

 「………う…それは。」

 「さっさと言え。」

 少し黙った後、少年が口を開いた。
 ようやく話す気になったらしい。


「…固定のお客様からです。」

「それは分かってる。
 誰かって聞いてんだ。」

 「…………。」

 「宿泊って言ってたよな?
  それなのに、家にいるし、
  身体はボロボロだし、意味が分からねえ。」

 オレさまがそう言うと、
 少年がぽつぽつと口を開く。

「……………それは、」
 

「……それは、僕が…役立たずだから…です。」
 
 
 
 少年が痛々しいギプスを抱え直した。

「僕のテクニックがないせいで…
 お客様を怒らせてしまいました。」


「お前なんか、海に沈めてやるって言われました。
 僕、このまま死ぬんじゃないかって…。
 だから…つい、携帯を開いてしまって。」

「沈めるって…。
 どんなプレイだよ。」

 
 いつものコイツなら
 これでもプロだから、とか
 これが仕事だ、とかほざくんだろうが、
 今日はそんな気迫は無い。
 顔色は真っ青で、目はいつもより闇深い。

「まさか、泳いで家まで戻ってきたのか?」

「いえ…実際は、シンクで
 軽く顔に水つけただけです。」

 「はあ?軽く?…そんなレベルじゃなかったけど。」

 「…………。」

「キッチン、壁まで濡れてた。
 無理矢理抑え込まれたんだろ。」

「……僕が、蛇口、閉めるの…忘れて…。」

「嘘つくな。話聞いてやってんだぞ。」

「…申し訳、ございません。」

「無理矢理、だな?」

「…………。はい…。」


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