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キバナさん 男娼を買う

第5章 救う







 「ポケモンに乗れば、上から引っ張ってやれるな。」

 ぽん、とジュラルドンを出すと、
 少年の顔を覗き込んでいる。
 少年はびくりと震えて、
 ジュラルドンから距離を取った。

 「…………。」

 「それとも、ここにいるか?
  オレさまの手を借りねえと、
  どう考えても出られないぜ。」

 「………。ポケモン……。」

 「なんだよ。ジュラルドンに乗ればすぐだ。」

 「う………。」

 ジュラルドンが少年に近づくと、
 少年は後ろに下がった。
 

 「ぽけもん…は……苦手で…。」

 オレさまからもどんどん距離を取り、
 壁を背にして立ち尽くしている。
 顔は真っ青だ。…どうしても無理らしい。

 「………わかったよ。オレさまが上から
  引っ張ってやるから。」

 「…………。」

 「それならいいだろ。」

 「……お、お願いします。」


 ジュラルドンをボールにしまい、ハシゴをあがる。
 少年がハシゴの下から
 オレさまを見上げた。

 「手、貸せよ。」

 「は……はい。」

 上から思いっきり屈んで手を伸ばすと、
 少年の指先だけ触れた。

 「あと一歩、登れないのか。」

 「い、いま、上がります。」
 
 1、2歩だけ少年がハシゴに足をかけた
 そのまま転び落ちそうな少年の手首を掴んで、
 上に無理矢理引き上げる。

 ハシゴに少年の腕が当たり、
 少年の顔が歪んだ。

 「、い゛っ……、」

 「もうちょっとだ。気張っとけ。」


 少年もハシゴに足をかけながら上り、
 少年をリフトから引き上げることができた。
 直後、床に少年が転がって、うぐ、と呻いている。

 「う……ぅ、」
 
 がくがく震える腕をかばいながら、
 少年がふらふらと立ち上がっていた。
 顔色は、すこぶる悪い。


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