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キバナさん 男娼を買う

第4章 探す







 「……あ、」

 少年の携帯が鳴る。
 少年の携帯はガラパゴスのやつだ。
 所謂ガラケー。今これ使ってる奴、
 珍しいんじゃねぇの?

「すみません、失礼します。」

 少年が慌てて携帯を開ける。
 少年の顔色を見る限り、
 相手はただの客では無いらしい。
 ったく、客の相手すんなら電源切っとけよ。

 「…………………。」

 「どうした?」

 画面を見た少年の顔がみるみる青ざめていく。
 唇が震えて、息を呑む音がした。

 「今日はこれで…失礼いたします…。」

 「待てよ、誰からだ。」

 「……………。」

 「おい!」

 腕を掴んで振り向かせると、
 少年が震えた目でこちらを見ている。
 口をぱくぱくと動かしてから、
 言葉を飲み込んだ。

 「…ま、またしばらく、ご連絡できません…。
  申し訳ございません。」

 「なんでだよ。」

 「固定のお客様から、宿泊サービスの依頼がきて…
  今から…行かないと、間に合わない…。」

 「宿泊?」

 「宿泊ですと、24時間単位でお金が取れます。
  逃す手は…ありません。」

 言ってることは筋が通っている。
 だが、やつの顔は震えて強ばっていて、
 恐怖でみるみる青ざめているのは明白だ。



 「行かせないって言ったら?」

 「お客様との関係を壊してでも、
 行かせて頂きます…。」

 「…………。」

 少年は本気だ。
 実際、掴んでいるオレさまの手を
 振り回して離そうと何度も試みている。

 「………これ以上、するなら。
  二度とお会いしません。」

 少年が震えた声でそう言った。
 …会えないのは困る。
 ぱっと手を離すと、
 少年が腕をさすった。

 「わかった、でも。」

 「…………。」

 「なんかあったら連絡しろよ。」

 「…かしこ…まりました。」

 少年がこくこくと頷いてから、
 ぺこりと頭を下げてリビングを後にする。
 バタン、と玄関の重い扉が閉まり、
 少年が帰ったことを知らせた。


 「アイツ、まだなんか隠してるな…。」


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