第3章 理由
その跡に触れると、
少年が体をびくりと震わせた。
逃げるように俺から離れようとしている。
「……それとも。借金返済のため?」
「………しゃ、借金?」
掴んでいた手を離すと
少年の目が泳ぎ、
慌てて服を整え始めた。
明らかに、動揺している。
「…そんなの、ないですよ。」
適当にはぐらかされた。
証拠がないから、と決め込んでいるのだろうか。
…残念だが、証拠はある。
「来い。」
少年の首輪を掴んで、
無理矢理リビングに連れていく。
ソファーの近くに投げ飛ばすと、
少年が、う、と呻いた。
「おまえのことは調べた。
借金はあるはずだ。」
「……………。無いです。」
「しらばっくれるんだな。
それは、父親譲りか?」
「…さあ。なんのことか、」
「それとも、スパイクタウン譲り?」
「………、…。」
「600万。大変だな、お前も。」
オレさまがそう言うと、
少年がばっと体を起こし、
オレさまを見上げた。目を白黒させている。
「なん…で…知ってるん、ですか……。」
「お前さ、オレさまが誰か知ってるだろ。
ジムリーダーだぜ?
情報網のパイプくらいあるんだよ。」
「…………。」
ジムリーダー、その名前に
少年の瞳が一瞬揺らぎ、眉をひそめた。
「マクロコスモス…。
ローズ、……。」
「正確にはその秘書だ。」
少年が歯を食いしばって呟く。
ははは。オレさまに隠し事するからだ。
「ちょっとずつ返済してるのも、
父親の連帯保証人なのも調べた。」
棚から書類を出して、
少年に手渡す。ちなみにコピーだ。
破られたら困るからな。
「……………。」
「どうだ?話す気になったかよ。」
「話して…お客様の得になるんですか。」
「別に?気になったから聞いてるだけ。」
「…………。」
少年が眉間にシワを寄せる。
書類をじろじろ見てから、オレさまに戻してきた。
諦めたらしい。