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キバナさん 男娼を買う

第10章 露見









 「あぁ、疲れた。」

 なんとか家に帰ってきた。
 どさ、とリビングのソファーに身体を預ける。
 部屋は物が散乱していた。
 めんどくせ…。明日レイに片付けさせりゃ
 ちょっとは綺麗になるか。

 「………。、」

 レイがオレさまの手元に来て、
 立ったまま、止まる。

 「あ?どうした。
  お前も疲れただろ。
  今日はさっさと寝るか。」

 「ぅ…う、う……。」

 レイは、そのまま泣き始めた。
 ぽた、ぽた、と床を濡らしていく。

 「レイ…?」

 レイは何度も目を擦るが、
 涙はどんどん溢れていく。
 レイの涙が、手から腕に伝う。

 「ぅ…ぐす、う、…。」

 「来い。」

 レイの胸板に触れた。
 紐がない。
 ………そうだ。リードは取ったんだった。

 レイが膝を落とすのを
 肩を掴んで止める。

 「もう床座るな。」

 「……ぅ、う……」

 そう言ってこくこくと頷いて、
 ソファーの端に座る。
 その遠慮がちな姿勢にムカついて、
 腕を引っ張って引き寄せた。
 …リードなくてもこれじゃあ、結局同じだな。

 「座れ。」

 最近気付いた。
 レイを膝の上に座らせると、
 身長差が気にならなくなる。
 屈む必要がなくなって、
 レイの身体に触れやすいし…。
 抱きしめやすくなる。

 「ぅ……う、う…。」

 レイがオレさまの膝の上に座る。
 いまだにぼろぼろに泣いていて、
 オレさまの服を濡らした。

 「ぅ、うう…ひっく……。」

 レイから嗚咽が漏れて、
 泣きじゃくり始めた。
 ……。忘れてたけど、
 コイツ、まだ子どもだったな…。


 「ダンテとマクワになんかされたか。
 もしそうなら、殴りつけてやる。」

 そう言うと、レイがぶんぶんと首を振る。
 手にはまだ首輪を握りしめていて、
 レイが動く度にかちゃかちゃ鳴っている。

 「ぅ…ちがいます…。」

 「ならなんだ。」

 「帰ってこれたって…うれしくて……。」

 そう言って、
 レイがオレさまに身を預ける。
 ぐしゃぐしゃとまた泣き始めた。



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