第10章 露見
「オレの元にいなくてもいい。
ダンテのとこでも、マクワのとこでもいい。
…だから、家には返すな。」
言葉をなんとか絞り出した。
本当は許せない。
手元に置いておかなきゃ、納得いかない。
でも、自分がいい主人だとは思っていない。
首輪嵌めて、管理して、好き勝手抱いて。
最低だと思う。
…オレなりの、愛情、だった。
「もう忘れさせてやりたい。
過去のことは全て忘れさせて、
どこにでもいる普通の少年にしてやりたい。」
「だから…親だけはやめろ。
あそこにいたら、殺されてしまう。」
また言葉を口に出そうとすると、
ダンテが呆れたように言った。
「………わかった。オレの負けだ。」
顔をあげると、ダンテがはあ、とため息をついた。
……こいつ、謀ったな。
「彼は未成年だ。
それは分かったが、気になる点がある。」
「どういうことだよ。」
「身元をもう少し調べてみよう。
家に返したくないのは理由があるんだろう?」
「は?調べてどうする?
家族に会わせる気かよ。」
「会わせなくてもいい。
そこはキミに任せるよ。」
オレさまは父親から
遠ざけるのに必死だった。
でも、ちゃんと手を打てば
奴から引き離せたのか?
ダンテの頭が回るとは思えない。
マクワの入り知恵だろう。
「返す気は…あるんだな?」
「彼はキミを信頼している。
オレ達よりキミの元にいた方がいい。」
はぁ…とため息が漏れた。
もしダンテがNOと言ったら、
ダンテとマクワをはっ倒して
いかなければならなかった。
…正直、勝ちの目は薄かった。