第10章 露見
「会ったばかりでも分かることはあるさ。」
「なんだよ。お前なんかに…」
「キミが言っている、証。彼には大きすぎるぞ。」
「……あかし?」
「首輪のことだ。」
レイの首輪?
うちに来た時に用意してやった
黒い首輪が、なんだよ。
「何回も引っ張っただろう。
首に擦れて、首輪に血が染み付いていた。
ずっと痛かったのに我慢していたんだな。」
「はあ?」
「気付いていなかったのか?」
知らなかった。
そんな素振り、1つも見せなかった。
「傷跡が残ったら、
本当にキミの奴隷になってしまう。」
「………。」
「首に、横線が1本。
キミが付けた、奴隷の証だ。
もしこれ以上付けたら…一生消えなくなる。」
ダンテが、首を指でなぞった。
それをしたかったわけじゃない。
「彼にキミの趣味を押し付けた。
やはり、道具扱いじゃないか。」
違う。
アイツは、道具、じゃない。
そう思うのに、言葉が出てこない。
オレさまのもの、だから、
そばにいるのが当然で、
それで…
「キミの元にいると、彼が傷つく。
両親の元に帰らせよう。」
ダンテは当然のように言い放った。
親…だと?本気で言ってんのか、コイツは。
「ぶっ潰す…おまえを殴ってでも、取り返す。」
「そう簡単にどく気はないぞ。
キミは彼を支配し、監禁している。
それは間違っていることだ。
スパイクタウンにいる
両親のところにいた方がいい。」
「それはレイが本当に望んでんのか?」
「望んでいるかどうかじゃない。
両親の元にいるのが、彼の幸せだ。」
ダンテは首を傾げて言う。
なにが、しあわせ、だ?
なんにも分かってない、ダンテは、なにも。
「ふざけんなよ…
なんにも知らないくせに、
分かった口聞くんじゃねえ!!」
廊下に、オレさまの声が響く。
遠くで、ジムトレーナーが振り向いている。
「身体売って、親に殴られる
レイの気持ち、考えたことあるのかよ!」