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キバナさん 男娼を買う

第10章 露見







 「…ダンテ…。」

 「やあ。キバナ。遅かったな。」

 キルクスジムに行くと、
 ダンテが手を振って待っていた。
 
 オレさまがここにいるわけを知っているのか、
 ダンテは廊下の真ん中に立って、
 先に行かせようとしない。
 この先は控え室と応接室がある。

 マクワがレイを攫ったと仮定すると、
 人目からアイツを隠したいはず。

 そして、目の前に立つダンテは、
 オレさまを阻んでいる。

 「なんだよ…おまえもグルか?」

 「まあ、そうだな。」


 時計をちらりと見ると、
 もうとっくに日は落ちている。
 家から出てかなり時間が経ってしまった。
 
 レイは無事だろうか。
 キルクスタウンより、
 スパイクタウンに殴り込んだ方が良かったか?
 もしスパイクタウンに返されていたら
 レイはどうなる?
 今度こそ、海に沈められるかもしれない。
 

 「大丈夫だ。
 今マクワと一緒にいる。」

 「………。」


 その言葉に、ぐっと手に力がこもる。
 …油断した。
 オレさまが家にいる時はともかく、
 不在の時に狙われるとは思っていなかった。

「返しやがれ。やつは、オレの、オレさまの…」

「奴隷、か?」

「……………。」

「首輪をはめさせて、
 紐までつけて。趣味が悪いな、キミも。」

 ダンテが真剣な目でオレに言う。
 『奴隷』。その言葉だけ言われると、
 こちらも分が悪い。
 確かに傍から見たら奴隷扱いだ。
 

「勝手に家入りやがって…訴えるぞ。」

「何言ってるんだ。
 キミが女性を監禁するのは
 いつものことだろう?
 今回もそうだと思って乗り込んだだけさ。」

「………チッ。」

 舌打ちをすると、
 ダンテの口が、む、と結ばれる。

 
 「でも、まさかあんな少年を匿っているとは
 思わなかったよ。」

 「うるせえ…。オレさまの勝手だろ。」

 「キミは少年を攫ったも同然じゃないか。
 親から引き剥がして、
 自分が1番正しいと教育する。
 『勝手』で収まるとは思えないな。」

 「…………。」



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