第10章 露見
「男にまで手を出すとは驚きだ。
キバナは女ばかりだと思っていたが。」
「たしかに、キバナさまは…女性が好きです。」
「じゃあ、なんでキミがここにいるんだ。」
「酷い女性が、多くて、
キバナさまを満たせられない女性ばかりなんです…。
だから、その時に僕が…お相手します。」
「キバナはキミに、処理をさせていると?」
「は、い。」
「キミはそれを望んでいるのか?」
「はい。」
「でもそれは、間違っていることなんだ。」
「間違っていません。
キバナさまは常に正しいんです。」
「正しくなんか、」
「ダンテさん。
今は彼の話を聞きましょう。」
紫の髪の男性が、ぐ、と口をしかめた。
キバナさまのためならなんでもする…。
その言葉に迷いは無い。
首輪をつけてもらった時から、
身体だって、心だって、
すべて、すべてキバナさまのモノ…。
僕は、キバナさまを満たす存在なのだ。
「キバナさまのためなら
なんでもします。」
「どうしてそんなにキバナに尽くすんだ。
怖くて逆らえないのか?」
「怖いと思ったことはありません。
キバナさまは優しくて…僕を助けてくれて…」
いつの間にか、言葉が止まらなくなっていた。
2人の男性に、自分の気持ちを打ち明けている。
「命の…恩人なんです。
キバナさまのためなら、死んでもいい…。」
今、この人達から携帯を奪って電話をかけたら、
キバナさまは来てくれるだろうか。
あの時みたいに、助けに来てくれるだろうか。
「おねがいです。
どうしても帰りたいんです。
キバナさまと一緒にいたい。」
「キバナさまに……会いたい…。」