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キバナさん 男娼を買う

第10章 露見








 「それは、相手が悪いです。ぜんぶ。」

 「そうだったか?」

 男性の言葉にむすり、と顔をしかめる。
 本当だ。
 キバナさまの命令をきかないなら、
 殴られるのは当然のこと。
 いい子にしていれば、
 キバナさまは褒めてくれる。

 「キバナさまに、逆らう方が…悪い。
 キバナさまの命令は…絶対だから…。」

 「………。絶対、ですか。」

 男性が呆れて、ため息をついた。
 僕の言い方が良くなかったのかな…。

 「次はあなたのことを
 教えてもらいましょうか。」

 男性が僕と少し離れた所に座る。
 サングラスの奥に、吸い込まれそうだ。

 「レイと言いましたね。」

 「……はい。」

 「どこでキバナさんと出会ったんです?」

 「……え、えっと…。」

 言葉が詰まった。
 初めて会ったのは、
 お店から呼ばれて家に行った時だ。
 でも…なんて言ったらいいんだろう。
 男性はじっと僕を見ている。
 目、逸らせない…。

 「…お、お店で……。」

 「……お店?なんのお店ですか?」

 「…………。」

 その言葉に瞳が揺らぐ。
 風俗?援交?そんな言葉を言ったら、
 キバナさまに迷惑がかかる。
 どうにか、誤魔化して…。
 
 「い…いろんなことする、お店です。」

 「いろんなこととは?」

 「う……、……。サービス…。」
 
 「……まさかと思いますが。
  性的サービスですか?」

 「………………。」

 「はぁ…図星ですか。」

 僕は何も言ってない…はず、なのに、
 また見抜かれてしまった。
 紫の髪の男性はぽかんとしていて、
 もう1人は頭を抱える。
 目眩がしてきた、と呟いている。



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