第10章 露見
「そろそろ出ないと
家主が帰ってきますよ。」
「そうだな。」
「タクシー呼びますね。」
金髪の男性が、慣れた手でスマホに入力していく。
「う、お願いします。
出たくない。いやだ…いやです…。」
「もう少し話を聞きたいだけだ。」
「ぅ……。」
「キルクスタウンに行きましょうか。
ここから近いですし。」
「そうしよう。やっぱりキミを呼んで正解だった。」
「こんなことになるとは
思ってませんでしたよ。」
スマホをしまって男性がため息をつく。
これから、キルクスタウンに連れていかれる…
どうしよう。なにか、なにか残しておかなければ…
ふと服を見ると、
ベッドの下に入ったせいで、
ほこりまみれになっている。
「き、き、着替えたい、です。」
「ん…?ああ。服か。」
「ほ、ほこりっぽくて、お願いです。
逃げませんから…。」
「どうするんです?」
「着替えさせよう。
こんな格好で出したら、オレ達が疑われる。」
寝室に、なにか、なにか残さなければ……。