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キバナさん 男娼を買う

第10章 露見







 「ダンテさんは来たことあるんですか?」

 「まあ。何回か興味本位で入ったことがある。」

 「うわ…。」

 「言っておくが使ったことは無い。
 流石に他人の家でするほど落ちぶれていないさ。」

 「そんなことするの、キバナさんくらいでしょう。」

 「そうだな。そのうち控え室でもやりそうだ。」

 「勘弁してくださいよ…。」

 男性の足が離れていく。
 うわぁ、とかうげ、とか言いながら
 部屋のドアに向かっていく。

 「もう出ましょう。
  空気も吸いたくないです。」

 「そうだな。他は変わった様子は無い…。
  以前来た時と同じだ。」

 そう、何も変わってない。変わってないんだ。
 だから、この部屋から出て…何も気づかずに
 帰って欲しい。

 「この部屋が最後です。
  何もなかったということですよね。」

 「いや、必ずある。」

 「あのマットレスは怪しいですけど、
  決定的な証拠にはなりませんよ。」

 「でも、誰かがいた証拠なんだ。
  何かを見落としているはず…」


 男性が呆れたように部屋の扉を開ける。
 薄暗い部屋に、リビングの明かりが入る。

「諦めましょう。
 キバナさんに見つかったらなんと言われるか
 わかりま、……………。」

 その時、男性の声が止まる。

 「どうした?」

 「………。」

 男性の手がリードに伸びる。

 「何か光ったと思ったら…。」

 「なんだこれ…紐?」



 思わず息が止まる。
 僕のリードを、男性がひっぱる。
 うぐ、くるしい…。

 「何かにひっかかっていて取れませんね。」

 「この部屋の玩具の1つだろう。
  キバナならやりそうなことだ。」

 口を手で抑えて耐えていると、
 男性の手が緩む。

 「悪趣味すぎます。」

 ベッドの下を見られたら終わる。
 僕は必死に息をひそめた。
 さっき首輪を引っ張られたせいで、
 喉がくるしい…。

 「………げほ……」


 「…………?」

 咳をしてしまった。
 慌てて口を抑えるものの、もう遅い。

 ベッドの下から、
 サングラスが光った。


 「……ダンテさん、いましたよ。」



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