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キバナさん 男娼を買う

第10章 露見






 
 部屋を見渡すが、
 運悪くここは性行為専用の部屋。
 周りに家具はほとんどない。
 せめて寝室だったら、隠れる場所は
 たくさんあったのに。

 「………そうだ。ベッドの下。」

 先程拭いていたベッドの下を覗く。
 大人では無理だが、僕の体ならなんとか入りそうだ。
 音を立てないように伏せて、ゆっくりと床を這った。
 リードがかちゃかちゃと鳴っている。

 「もし見つけたらどうするんです?」

 「勿論逃がす。そもそも家に
  人を飼うことがおかしい。
  ちゃんと付き合ってから同棲すべきだ。」

 「…。それは、その通りですね。」
 

 逃がす…そんなことをされたら、
 僕は行く宛がなくなってしまう。
 この家から出たくない。

 でも、今日は守ってくれるキバナさまはいない。
 いるのは僕1人。
 なんとか、切り抜けないと、

 「…………。」

 なんとかベッドの下に潜り込むことが出来たが、
 リードが途中でひっかかってしまった。

 「ぅ…」

 引っ張ってみるが、
 ベッドの柱の金具とリードの革が擦れて取れない。

 下を覗かれたら…終わりだ。




「リビングとダイニングにはいないようだな。」

 「シャワールームもいませんよ。
  水滴1つないですけど。」

 「キバナが掃除するとは思えない。
  やはり、誰かが出入りしているんだ。」

 「そのわりには、モップがあります。」

 「キバナがモップがけしてるとか?」

 「笑えます。」

 写真撮ってリーグカードにするべきですね。
 という声とともに
 がちゃがちゃと順番に扉を開ける音がする。
 扉の音は、すぐ近くまで来ている…。

 「前来た時、寝室は
 プライベートだと言われて見せて貰えなかったな。」

 「そうですか。
 それなら今回もそうでしょう。」


 ……………。しまった。
 あの部屋を見られたら、絶対、

 「開いているぞ?閉め忘れたのか。」

 「意外ですね。ぼくが女性を監禁しているなら、
  鍵は閉めます。」

 「なんだ。監禁しているのか。ダメだぞ。」

 「してません。…あんまり言うと帰りますよ。」

 「冗談だ。悪かった。」

 がちゃり、と寝室の扉が開く音がする。
 ………。あの部屋には、僕の私物が揃っている。
 タンスも、服も、マットレスも……。



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