第10章 露見
「キバナ!いるか?」
「本当にいいんですか?こんなことして。」
聞き覚えのある声だ。
2人の男性の声がする。
………キバナさまじゃない。
「ど、どろぼう……?」
抱く部屋にまた急いで戻り、
掃除用具の中からモップを引っ張り出す。
う、こんなので、撃退できるだろうか。
「最近ずっとキバナの様子が変だ。
女遊びもほとんどしない。」
「確かに、最近やけに大人しいですが、
不法侵入など…。」
「また女性を飼ってるかもしれないだろ。」
「そこは法律はギリギリのところですけど。
一応『同棲』ってことになってますし、
ぼく達が口を出せる立場ではないですよ。」
「じゃあ、もし無理矢理監禁していたら?」
「…。アウトです。」
「キバナは絶対に何かを隠している。
気にならないか?」
リビングにいたらまずい。
モップを壁に立てかけて、
1番手前の部屋に滑り込んだ。
…性行為の部屋だ。
そこから覗くと、
紫の髪の男性と…金髪の男性が見える。
「ここで止めないと、
世間にバレたらそこで終わりだ。」
「もし、バレるようなことがなかったら、
八重歯むき出しにして怒りますよ。」
「その時はキミになんとかしてもらう。
だから呼んだんだ。」
「ぼくを便利屋扱いしないでもらえます?」
あの人達、テレビで見たことがある。
ダンテと、キルクスタウンのジムの…えっと。
ま、まく……。名前が思い出せない。
「キバナに聞いてもはぐらかされてしまう。
教えてくれないなら、調べるしかない。」
「ぼくは、何も無かったら帰りますからね。」
ダンテがリビングやダイニングを見回り、
もう1人の男性が呆れている。
名前…そうだ。思い出した。マクワだ。
キルクスタウンのジムリーダー。
ということは、キバナさまの同僚…になるのか?
「……………。」
どちらにしても、
どこかに隠れないと。