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キバナさん 男娼を買う

第2章 致す






 「こちらでしょうか。」

 「ああ。」

 持ってきた水のグラスを受け取ってから、
 少年に押し付ける。


 「飲め。おまえの分だ。」

 「………受け取れません。」

 「水一杯くらいいいだろ。」

 だが、知らない、教えてくれない、となると、
 余計に知りたくなる。
 だから、行為後にこうやって根掘り葉掘り
 聞いてみているんだが、成果は無い。

 「…いただきます。」

 少年が水を受け取ってごくごくと飲む。
 喉が渇いていたらしい。
 グラスを一気に飲み干して、
 ふう、と息を吐いている。

 「もう一杯飲むか?」
 
 「いえ…。ごちそうさまです。」

 少年は首を振った。
 口の中の液体は、まだ残ってるから
 飲みたいと思うんだけどな。
 少年がグラスを持って立ち上がる。

 「グラス、洗ってきます。」

 「ああ。いい。
 置いとけば家政婦が勝手に洗うから。」

 「家政婦…?」

 オレさまの言葉に少年が周りを見渡す。
 奴隷を探しているらしい。



 「アイツは捨てた。」

 「そうですか。」

 元々考えていたことだ。
 少年が物置に一瞥してから
 こちらに向き直る。


 「おまえも飼ってやろうか?」

 「お気持ちだけいただきます。」

 「ノリ悪いな。」

 少年は首を振った。
 女に言えば、大体の女がYESと答えるのに、
 コイツは揺らがない。

 「固定客がいるからか?」

 「はい。」

 「オレさまが倍出しても?」

 「はい。」


 真っ黒な瞳をオレさまに向けながら、頷いた。
 少年の目はいつだって死んでる。
 肉棒の大きさはもう気にしてなさそうだが、
 同時にオレさまにも全く興味を示さない。

 「ほんと、つまんねぇやつ。」

 「申し訳ございません。」

 心ん中では謝ってないだろ。
 頭は下げているが、謝罪の言葉は棒読みだ。
 オレさまと話しながら、
 何度も時計を確認している。

 「あの、もうそろそろお時間が…」

 「あと1回抜く時間はあるだろ。」
 

 コイツ、舐めてんのか。
 オレさまだって常連になってやってるんだ。
 なのに、他の客優先しやがって…
 ほんとに飼ってやろうか、レイ。

 

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