第9章 リード
「え…まくら、も?」
ふと枕に触れると、
枕も濡れていた。
「潮…。」
そうだ、潮吹きしちゃったんだ…。
普通のシーツは寝室にあるけど、
枕カバーはない。
洗濯物から取ってこなきゃ…。
「ぐ…、」
部屋から出ようとすると、
首が引っ張られた。
鎖がじゃらじゃらと鳴る。
……。しまった。部屋から出られない。
「ど、どうしよう…。」
無事な枕は2個くらいしかない。
とりあえず枕カバーを外していく。
「………。」
外した枕カバーに触れると、
やはり水滴が付いているのが分かった。
キバナさまが見たらなんて言うだろう。
淫乱?肉便器?…まあいいや。
仕事柄、全部事実だ。
「じかん、ない……。」
もうそろそろキバナさまが浴び終わる頃だ。
新しいシーツに手早く変えて、
他に汚れがないか確認する。
「よし…とりあえず。」
他は無事だった。
汚れていたのは、ベッドの柱くらいだ。
水しぶきが飛んでいる。
…我ながら、飛ばしすぎだ…。
「う……拭かないと…、」
ティッシュで拭いたら綺麗になった。
明日、ちゃんと水拭きしよう。
ベッドメイキングが終わった所で、
キバナさまが帰ってくる。
「…………。」
シーツはしっかり整えたのに、
枕は剥き出しのままだ。
何も言えずに黙っていると、
キバナさまが首を傾げた。
「枕は?」
「……ぬ、ぬれちゃい、ました…。
申し訳ございません。」
「なんだそりゃ。水でも零したのかよ。」
「…………。」
「おい。」
目が泳いでから、覚悟を決める。
キバナさまの手が鎖に伸びた。
これ以上黙ってたら、
絶対、鎖を引っ張られて怒鳴られる。
「し、しお…。」
「は?」
「しお…吹いたの…飛んでて…。ごめんなさい。」