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キバナさん 男娼を買う

第9章 リード






 「女性を飼ってるとして。
 どこに証拠があんだよ。
 おまえが勝手に言ってるだけだろ。」

 「確かに、何も証拠はない。
 オレがそう思っているだけだ。」
 

 「ぅ、う…時間がない。どうしよう。」

 足音はすぐそこまで近づいている。
 僕は慌ててクローゼットに潜り込んだ。
 ほこりっぽくて、狭いけど
 なんとか入れそうだ。

掃除機とほうきの間に身体を押し込んで、
 クローゼットをしめる。

 「けほ…、」

 「この家にいるなら、
  今すぐ解放してやらなければ。」

 同時にばたん、とリビングの扉が開いた。




 「………。いない、な。」
 
 
 ぐっと息を殺した。
 
 クローゼットの隙間から、
 リビングの様子が見れる。
 紫の髪の男性が
 キョロキョロとリビングを見回している。

 あれ…元チャンピオンの、
 確か、ダンテだ。
 最近チャンピオンを降りて
 リーグ委員長になった人。

 テレビで見てた人が、
 こんなところにいるなんて。

 ……。こんな形で会いたくなかったな。


 「…………。」

 キバナさまも目線をいろんな所に飛ばしている。
 僕がここに隠れているのは、
 キバナさまにも気付かれていない。

 「残りの部屋は?」

 「………は?、あぁ。」

 キバナさまが鍵束を取り出して、
 部屋を開けてダンテに見せていく。
 ダンテが首を傾げると同時に、
 キバナさまも首を傾げている。

 「……この部屋は?」

 「オレさまの寝室。
 マジでプライベートなんだよ。やめろ。」

 「まあいいさ。物音は聞こえないからな。」

 キバナさまの言葉に
 ダンテはうむ、と頷いた。

 「確かに誰もいない。
 キミの言った通り、
 オレの早とちりだったかもしれない。」

 「ほらみろ。」

 また足音がつかつかと音がして、
 ゆっくりと遠くなっていく。


「分かったなら帰れ。」

「ああ。今日のところはな。」

「二度と来るな。」

 「……………。」

 どうにか、やり過ごせたようだ。


 少ししてから、
 こんこん、とリビングの壁を叩く音が聞こえる。

 「レイ?いるんだろ。
 もういいから出てこい。」



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