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キバナさん 男娼を買う

第8章 褒美






「……、で、も。」

「ダイニングは家政婦が掃除する。
 ここも拭くからいい。」

 キバナさまが、はあ、とため息をついて
 また鎖を引いた。

「口開けろ。」

「はい…。」

 次は何をされるのだろうか。
 キバナさまに向かって口を開けると、
 卵が押し込まれた。

「むぐ…。」

「世話が焼けるな。お前は。」

「……ごめん、なさ…。」

「いいから食え。」

 キバナさまがハンバーグを
 1口サイズに切り分けていく。
 ぴりぴりと痛む指を押さえて、
 卵を飲み込んだ。

「いつから荒れてんだ。それ。
 昨日今日の話じゃねえな。」

「……えっと…。
 ジムチャレンジ始まって、すぐくらいに…。」

「今までは荒れてなかっただろ。」

「その…練習、いっぱいしてたから……。」

「練習?」

「フェラの…。」

 僕がシリコンの棒を手で作ると、
 キバナさまが、はあ?とまた呆れている。

「限度ってもんがあるだろ。」

 キバナさまが文句を言いながら、
 僕にハンバーグを押し付けてくる。
 はむ、と口に含んだ。……美味しい。やっぱり。

「手首まで乾燥でがさがさだし。」

「んむ、んん…。」

「食事以外も問題あるな。」

 キバナさまがまたハンバーグを差し出して、
 もごもごと口に含んだ。
 キバナさま、おいしい。美味しいです……。

 主人に食べさせてもらって、
 気持ちが満たされていく。

 その光景にぼーっとしていると、
 キバナさまが僕の髪に触れた。


「髪もパサパサ…。ダメだこりゃ。」

「……んむむ。」

「ジムチャレンジにばっか目がいって
 放ったらかしにしてたからだ。
 これを機に全部整えてやるか…。」

 キバナさまがハンドクリームと、ボディーソープと、
 と呟きながら、僕の頬や髪を撫でていく。

「んむむ……キバナさま……。」

「なにぼーっとしてんだ。早く食え。」

「んぐ、はい。」

「今日はオレさまのしかねえけど、
 後で色々貸してやる。
 それ終わったらもう寝ていい。」

「夜の御奉仕は…?」

「そんな手で触られても何も感じない。」

「………。」

「明日から別の保湿剤用意する。
 それ使えよ。
 今度手が荒れたら、すぐに言え。」

「は、い……。」


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