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ラストラインを越えて

第12章 夏合宿


時代が変われば忘れられ、次に出てきた新しい世代に取って替わられてしまう。
戦績が優れているということはとてつもない名誉に違いないけれど、もっと他の価値が欲しい。
段々と自分の考えがまとまってきたような気がした。
『それ以上に……何年経っても、走ることを止めてもこの先ずっと覚えててもらえる……どんなに歴史が積み重なっても、ちゃんと思い出してもらえる……そんなウマ娘になりたい』
神座の横顔を見つめながら言葉を絞り出す。
そんなホマレに、神座は視線だけやりながら返した。
「記録より記憶ですか。到底狙ってできる所業ではありませんが……可能性はゼロではありません」
『ふふっ、よかった。ゼロじゃないなら目指す価値はありますよね? まあ結果はやり遂げた後のお楽しみってことで』
いじらしく声を弾ませて、神座の返答にやる気を示す。
「ええ……サポートはします」
自身の存在が人の心に刻まれているかどうかなんて確認のしようもないことだろう。
けれど自身の願望のようなものが言語化されたこと、そしてそれを神座に共有できたことにある種の達成感を覚えた。
ホマレは嬉しげに冷たい砂を踏みしめながら、神座と共に宿舎へと戻っていった。









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