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ラストラインを越えて

第29章 燃焼


『私、今年も有馬記念に出たい』
去年14着で終わった冬のグランプリレース。
この間の菊花賞でも勝利を納め三冠を獲った絶好調のオルフェーヴルが有馬にも出走する可能性はかなり高い。
自分も有馬に出れば、今もっとも注目されているオルフェーヴルと対決することになる。
もし重賞はおろかオープンレースすら未勝利のウマ娘が三冠バを打ち負かしたら、きっと多くの人が驚くだろう。
成功する可能性は低いけれど、お行儀よく走るよりも勝機は窺える。
神座のトレーナー人生に爪痕を残す絶好の機会だ。
『ちゃんと出走できるように、去年みたいにサポートしてくれる?』
顔を覗き込むように聞くホマレに、神座は迷いなく頷いた。
「ええ、もちろん。あなたが望むなら、思いつく限りの尽力をしましょう」
『ありがとう。……私も頑張るね!』
神座の答えにホマレは両手でガッツポーズを取りながら小さく飛び跳ねる。
左耳から垂れる耳飾りが揺れ、真鍮と房飾りの黄銅色が鏡に淡く反射した。









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