第24章 ファン感謝祭
他のペアがハードルを倒したり片足ずつ乗り越えているのを横目にホマレと神座がヒョイヒョイとハードルを進んでいく。
〈赤いゼッケンのペアが一番にハードルを抜けました。他のペアも頑張ってバクシンしましょう!〉
難なく1つ目の障害を越え、目の前に設置された深めのビニールプールに向かっていく。
〈次に待ち構えるのは巨大なボールプール!水濠のオマージュでしょうか。カラフルなボールを掻き分けて豪快に進んでいきましょう!〉
『ボールプールかぁ。楽しそうだねっ』
「律儀に中に入る必要はありません。ボールプールの入口の台、踏切板ですよ。あれを利用しましょう」
『7メートルくらいあるよ?神座トレーナーいける?』
走り幅跳びの要領で、助走をつけて踏切板を同時に踏み込んだ。
〈ちょわッ!?現在リード中の赤ペアがボールプールを丸々飛び越えました!何という跳躍力……トレーナーさんもウマ娘並みの運動神経を有していそうです!〉
着地で少しよろめいたホマレが神座に支えられながら立て直し、また前に向かって駆けていく。
観客席からどよめきが聴こえ、ホマレは誇らしげに笑った。
『トレーナーすごい!みんな驚いてるよ』
「ルール違反の判定を食らうかもしれませんが……エンタメなので、まあいいでしょう」
『そうだねっ。1着でも失格でもファン増えそう!』
楽しそうに言いながら共に走っていく。
目の前には棒がたくさん生えた坂が控えていた。
〈3つ目の障害は"スロープスラローム"!バンケットとS字ポールの複合型!急坂をテンポ良く進めるでしょうか?〉
人が一人通るくらいの等間隔に並べられたポールを避けながら坂道を駆け上がる。
二人三脚なのでどうしてもリズムが崩され、脚には段々と疲労が溜まっていく。
『意外と狭いね……うわっ、下り坂ヤバっ!』
重力に引きずられポールにぶつかりながら下り、何とか次へと進む。
〈後続のペアもどんどんボールプールを抜けて坂に挑んでいきます!赤ペアはこのまま先頭をキープできるのでしょうか!〉
走りながらホマレがチラリと後ろを振り返る。