第19章 初有馬
ホマレは寝返りを打ちながら考える。
失望も落胆もしない。期待外れではなく、どこまでも想定通り。
『(あ……最初から期待されてなかったんだ)』
神座には、初めから負ける以外の未来が見えなかったんだろう。
どんなアドバイスを与えたとしても、どうにもならないレース。
変に励ましたところで、不甲斐ない結果を残したことに余計に落ち込むだろうから。
『(だから、レース前に「やれるだけやれ」なんて具体性のない言葉しかくれなかったんだ……)』
枕に顔を押し付けながら、ようやく神座の言葉の意味を飲み込む。
悔しさと虚しさが込み上げはしたが、同時に自分の至らなさにも意識が向いた。
何もかもが足りてないウマ娘が、奇跡的に優駿の活躍する舞台に立った。それだけの事実を神座は冷静に受け止めていただけだ。
担当ウマ娘の勝利を願ってくれなかったことに対する不満はあるけれど、納得するしかないようにも思えた。
『(期待してもらえないなら、それを覆すような成果を出せばいい。いっぱい鍛えていっぱい走って……神座トレーナーの想定に収まらないくらい強くなるんだ)』
成長するしかない。それが、今日得た唯一の答えだった。
『(明日からまた……頑張らなきゃ)』
反省会はもうやめて早く眠ろう。
ホマレはそのまま、ゆっくりと瞼を閉じた。