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ラストラインを越えて

第18章 私だけを見つめて。


翌週の放課後、HRが終わった後にスマホを見るとメッセージが届いていた。
『おっ。神座トレーナーからだ』
今日は教室か図書館で自習をして過ごすように言われていたのに、何か予定に変更でもあったんだろうか。
『……!』
連絡の内容を確認したホマレは急ぎ足でトレーナー室へ向かう。
『トレーナー、有馬記念の話って本当!?』
扉を開けて早々にホマレが訊くと、デスクに着いていた神座が静かに視線を上げた。
「ええ。……トレーナー室に来いと言った覚えはありませんよ」
『あっ。えーっと、つい来ちゃった』
返信を求める文面に何も返さず直接来たホマレが誤魔化すように笑う。
そのまま荷物を置いて、神座のデスクに近付いた。
「まあ、いいです。メールで伝えた通り、 有馬記念を辞退した者が何名か出たようで……その繰り上がりで、空いた枠にあなたの名前が入りそうです。まだ確定ではありませんが、状況を踏まえるとあなたの出走はほぼ確実になりました」
神座がデスクの上に置いていた出バ投票用の書類を持ち上げる。
「一応確認しますが、心変わりはありませんね?」
『大丈夫!申請よろしくお願いします!』
「わかりました。では手続きをしておきます。……ついでに、勝負服も届いていますので確認をしてください」
その日の昼過ぎに受け取ったばかりの荷物について神座が言うや、ホマレは目を見開いて部屋を見回す。
『えっ!! 本当?どこにあるの!?』
「そこのラックに」
指差すと、ホマレは一瞬で神座の前から居なくなった。
『わぁ……!やっと届いたんだ!』
部屋の一画に置かれたラックに、見慣れない衣類カバーと紙袋が吊り下げてある。
どちらも包装には上品な模様が入っている。勝負服の製作を依頼した勝負服デザイナーのアトリエのロゴだ。
それを見てホマレは口元を綻ばせた。
『開けていい? 着てもいい? 走ってみてもいい?』
「全部許可しますので落ち着いてください。それにまずは中身の確認をしてからです」
興奮を抑えられず今にも舞い上がりそうなホマレを見て神座が制止をかける。
デスクの引き出しから紙を取りホマレに近寄った。
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