第1章 ボーイズ&ガールズ
クラスメイトが楽しそうにバドミントンをしている光景を眺めながら、月島蛍が汗をかいている姿を想像する。
男子はグラウンドで何をしているんだろうか。
外でやる体育となると候補は限られる。
人数が少なくてもできるサッカー。
野球も草野球程度のルールやキャッチボール程度ならできるだろう。
あとは人数など関係ないただ走るだけのランニング。
「思うんだけどさ、ひたすら走るだけの授業になんの生産性があるというんだろう」
「体を育てると書いて体育なんだから体力づくりとかじゃないの」
「だったらもっと有意義な体育の授業すればよくね?走るだけってただの拷問だよ」
「あんたみたいな思想の持ち主を更生させるべくあるんじゃない?」
「まるで犯罪者のように言うじゃん」
体育はそんなに好きじゃない。
運動神経が悪い人間への当てつけだ、拷問だ。
私がこうやってサボっているのはバドミントンをしたくないからだ。
はぁ、と深いため息を吐いてまた月島蛍の妄想にふける。
もしサッカーだった場合、月島蛍はそこに突っ立っているだけかな。
めんどくさ、とか思いながら。
最高か、好き。
野球だったらどうだ?
バッドも振らず見送り三振。
ありうる、容易く想像ができてしまう。
そういうとこが本当に好きだ。
ランニングだった場合はどうだろうか。
めんどくさそうにやはり走るんだろう。
少し後ろを山口くんが走ってて「疲れたね、ツッキー」なんて言って「うるさい、山口」って言うんだ。