第2章 マイワールド
菅原先輩に本の返却を伝えに行って、早2週間。
季節は初夏から真夏へと切り替わり、蝉の声のうるささと汗でべたつく肌の気持ち悪さに辟易しながら暑い日々を過ごす今日この頃。
ついにやってきました、期末テスト。
学生にとっては最大の敵であり、逃げて通れはしない壁。
これから期末週間に入るため、職員室の中には基本入れないし部活やっている人は部活ができない。
授業も早く終わるから、放課後遊びに行く人もいれば真面目に勉強する人もいる。
ちなみに私は前者である。
とりあえず遊ばないと勉強できないし、そこそこ点は取れるから多少サボっても大丈夫。
そう思っていました、つい先ほどまで。
「あ!この前の!!」
放課後、友人たちにカラオケでも行かないかと声を掛けようとした時だった。
教室の外から声が聞こえた。
聞き馴染みのない声に、教室にいた大半の生徒が目を向ける。
私もその一人。
教室の外にはオレンジ色の髪の毛の生徒と黒い髪の毛の生徒がいた。
日向くんと、もう一人は誰だ。
バレー部か?
「月島と山口と同じクラスだったのか!!」
躊躇、と言う言葉をどこかに落としてきたのか、日向くんは勢いよく教室に入ってくる。
なにこのコミュニケーションお化け。
パーソナルスペースどうなってんの?
「俺、日向。こっち影山」
「うっす」
「どもっす……。えっと、何用で?」
軽く会釈する影山くんに、私もつられて会釈をした。
どうやら彼らは月島くんに勉強を教わりに来たらしい。
赤点を取ると、夏の合宿に参加できないみたいで、死ぬ気で勉強をしなければいけないとのこと。