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泡沫の夢【呪術廻戦】

第5章 夏


夏の陽差しが窓の向こうから差し込み、電車の中は少しだけ蒸し暑い。
けれど、海に向かうというワクワク感がそれを忘れさせてくれる。
4人は並んでロングシートに腰をかけていた。
先頭から悟、硝子、ゆうな、傑。駅を出て少し経ったところで、車内は少し静かになった。
「……ちゃんと日焼け止め持ってきた?」
硝子がゆうなに尋ねる。ゆうなは慌ててバッグを探りながら答えた。
「持ってきたけど、塗るタイミングっていつなんだろ……? もう塗っちゃう?スプレータイプもあるけど」
「今塗ったら服につくでしょ。更衣室で着替えるときにまた塗ればいいよ」
「なるほどね、ありがとう、硝子ちゃん」
そんなふたりの会話を聞きながら、悟がふっと笑った。
それを見たゆうなはぽつりと呟く
「ふふ、こうやって4人で出かけるのって初めてだよね。
何か変な感じするけど、すごく楽しみ」
「そうだね」と傑が頷いた。
「たまにはこういう時間も、悪くないねー」
硝子は携帯を弄りながら応える。
「だろ〜? 俺が言い出したんだから、感謝してね?」
「それ自分で言う?」
ゆうなが笑いながらツッコミを入れると、悟はふふんと鼻を鳴らした。
電車の窓の外、遠くに見える水平線が少しずつ近づいてくる。
蝉の声も、潮の香りも、少しずつ夏の記憶を連れてきている。
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