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泡沫の夢【呪術廻戦】

第5章 夏


夜 ゆうなの自室
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寮の自室のベッドに寝転びながら、ゆうなはさっきまでの会話を何度も思い出していた。
「頼りにしてる」なんて、自分で言っておきながら顔が熱くなる。
──だって、夏油くんのあの言い方、なんだか反則でしょ……
風がカーテンを揺らし、夜の空気を部屋に運んでくる。
外ではまだ遠くで蝉が鳴いていたけれど、それすらも少し心地よくて。
コンコン。
突然のノック音に、ゆうなは跳ね起きた。
「ゆうなー、入るよー」
ドアが開いて、硝子がひょいと顔を出す。手には缶チューハイとアイスがひとつずつ。
「ねえ、海の前夜ってことでさ、ちょっとくらい語らない?」
「語るって、夜の女子トーク的なやつ?」
「そうそう。あんた、今日の夏油とのやりとり、正直に全部吐け」
「えぇっ!? な、なんでそれを……!」
「部屋の壁、意外と薄いんだわ〜〜」
と硝子が笑いながら缶を開けると、ゆうなは顔を真っ赤にして枕に突っ伏した。
「も、もう…ほんとに、硝子ちゃんってば……!」
「で、何て言われたの?“私が守る”とか“何があっても大丈夫”とか、甘いやつ?」
「ち、違うってば……! でも……うん、ちょっとだけ、胸がドキッとした……かな??」
「へぇ〜〜……じゃあさ、夏油のことやっぱ好き?」
ゆうなは少し黙って、天井を見上げた。
夜の風がもう一度カーテンを揺らす。
「……まだ、ちゃんとはわかんない。でも……夏油くんといると、安心する。あったかくなるっていうか……」
「悟くんとはまた別って感じ…かな?悟くんが隣いるのは結構当たり前だったし…」
自分でも上手く表現出来なくて段々と声が小さくなり俯いてしまうゆうな。
「ふーん、なるほどね。じゃあ明日夏油が水着でどんな反応するか楽しみだねー」
硝子はニヤニヤしながら缶チューハイをごくごくと飲む。
「ちょ、ちょっと…!」
二人の声は夜の寮の中にこっそり響きながら、夏の夜の温度を少しだけ上げていった。
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