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泡沫の夢【呪術廻戦】

第5章 夏


2日後の午後、夏の陽射しが街のアスファルトを照らしていた。
高専の制服ではなく、私服に身を包んだゆうなは、待ち合わせ場所の駅前でそわそわと立っていた。
「お待たせー」

ラフなTシャツにデニムショーパン姿の硝子が、片手にアイスコーヒーを持って現れる。
「わっ、硝子ちゃん早いね!」

「いや、普通。あんたがちょっと早すぎなんだって」
硝子は笑いながら、ゆうなの服装を見てからニヤッとする。

「んー、気合い入ってるじゃん。新しいワンピでしょ?」
「ば、ばれた……?」

ゆうなが頬を染めると、硝子は小さく笑って歩き出す。
「じゃ、水着見に行こ。あんたに似合いそうなやつ、いっぱい見繕ってあげる」
「…う、うん、ありがと」


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ふたりは駅前のショッピングモールに入り、エスカレーターで水着売り場へ。
「え、こんなの着るの……?」

ラックに並ぶビキニやワンショルダータイプを見て、ゆうなは思わず足を止めた。
「当然でしょ。なんなら、これとか、これとか……」

硝子は悪戯っぽく、布面積の少ない水着を次々と手に取っては、ゆうなの前に差し出してくる。
「む、無理無理!そんなの絶対着れないよっ……!」
「んじゃ、こっちのワンピースタイプにしとく?ちょっと大人っぽいけど、似合うと思うけどねぇ〜」
硝子がふと、ネイビーに白のフリルがついた上品な水着を持ち上げる。
「……わ、かわいい。こういうのなら、着てみたいかも」

ゆうながそっと受け取り、試着室の方へ向かおうとする。
「おーい、感想はちゃんと外まで聞こえるように言うんだぞー」
「言わないよっ!」

赤くなりながらカーテンを閉めるゆうなに、硝子は笑いながらベンチに腰を下ろす。


数分後――。
「……どう、かな……?」

カーテンの隙間からそっと顔を出したゆうなは、試着した水着姿のまま控えめに登場する。
「おー、めっちゃ似合ってる。想像以上にいいじゃん、それ」

「……ほんとに?」

「うん、間違いない。絶対、夏油とか惚れ直すね」
「なっ……! な、なんでそこで夏油くんの名前出すの……!」

顔を真っ赤にして口をぱくぱくさせるゆうなを見て、硝子は満足げにニヤニヤ笑った。
「ふふ、これは当日が楽しみだねぇ」

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